バナバナ

切腹のバナバナのレビュー・感想・評価

切腹(1962年製作の映画)
5.0
譜代大名、井伊家の江戸屋敷に玄関先で切腹させてくれと男がやって来る。井伊家は一見、その男を丁寧に持て成すが…という話。

私は井伊家なので、てっきり幕末の話なのかと思ったが、江戸幕府が始まって戦国時代の老舗の大名がどんどんおとり潰しになっている時期の話なんですね。
1962年の作品なんですが、まだ30歳の仲代達矢の演技が凄い。
元々彫りが深い顔出し、白黒映画だからメイクもより凄くしているのかもしれないけど、過去パーツと井伊家の屋敷に来た時の顔が全然違う。
覚悟のある顔。
本当にこれ、30歳の時の映画なの?と思いました。

これも外国人が選ぶ日本映画ベスト10位以内だったので観たんですが、『怪談』が昔話をそのまま映画にしただけという感じだったのに対して、本作は武士の建前、矛盾を真っ向から暴いています。
しかも、名も無き者たちの行動は、武士道に乗っ取っているので美しくみえてしまうという…。

井伊家の家中の傲慢ぶりは、青山の児童相談所建設に、
「ここら辺は自宅にコックを呼んでパーティーする様な家が多いのに、そういう家庭の子たちと同級生になったら、そのお子さんが自分を卑下してかわいそうでしょ。だから反対します」
と堂々と言ってた人たちとカブりますね。
今でも傲慢のネタには事欠かないですねw。

ただ一つ残念だったのが、仲代達矢の肝心なところでの殺陣の構えが『仮面ライダー』の変身ポーズに見えてしまうところ。
なんであんな変な構えにしたの!?
一緒に観ていた子供とガクっとなってしまいました。
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