やま

切腹のやまのレビュー・感想・評価

切腹(1962年製作の映画)
4.5
とんでもない映画だった。
武士の精神とは何か、そういったものを問う映画であり、小難しいものであるように思えるけどそんなことなく面白すぎた。

汚らしい風貌の男が切腹しにきたと言い始まる。しかしまさかこの男がどんな思いをして、あそこに座っていたのか冒頭では知り得ない。
福島正則の家臣であり、順風満帆な日々を過ごしていた。しかし福島正則は城の改築工事を無断に行い、咎められ小大名になってしまい多くの家臣をリストラしてしまう。その中の一人が、今回切腹しにきた男。こういう実際の歴史の話を織り交ぜて展開していくストーリー展開も、歴史好きとしてはたまらない。

リストラされ貧乏暮らしを余儀なくされるが、娘と何とかして生活してきた。そのうち娘に夫ができ、孫もできる。娘役の岩下志麻さんが綺麗。幸せな日々は、長くは続かない。

綺麗だった岩下志麻であったが、無理をしすぎ病に倒れる。そのうちその息子も高熱。男はどうすることもできない。そして娘婿が良い方法があると、出て行く。それがこの凄惨なラストの始まりであった。ここまでの流れの見せ方もテンポよく、この話を切腹間際の男が語るシーンも混ぜながら上手くなされている。

そして娘婿は本心ではする気は無かった切腹をすると言って、お金を貰おうとしたが、相手はそういう風にしてお金をもらう人が増えてきていると、本当に切腹させる。その切腹があまりにも残忍。本当に死ぬ気が無かった彼は竹の刀で腹を切る。その腹を切るシーンがあまりにも残酷だった。なかなか腹に刺さらない竹。自分がのしかかり刺しに行くシーンはむごくて仕方なかった。

侍の魂というものを問う映画なのだが、結局人間の持つ信念というのは、どれほどのものなのか?大したものではないんじゃないのか?と挑戦してくるような作品であった。確かに歴史の勉強をしていると、一番偉い人は戦に負けると敗走せず、自刃する人あるいは、戦いに向かって死ぬ人が多い。死ぬのって怖いはず。少なくとも今の平和の社会で自殺する勇気のある人なんて本当に少ないはず。

恐ろしい映画でした。