フェリーニが若い頃経験したふるさとのある一年を題材にした映画。
ひとつひとつのエピソードはフェリーニ自身の回想録の様で、我々外国人にとってはその時その場所に旅行に行った様にも感じる。
最近のどんでん返しや伏線が忙しく重視された映画とは対照的な、木を見ずして森を見る様な、それぞれの独立したエピソードを全体的に俯瞰して初めてフェリーニの過ごしたノスタルジックな思い出が見えてくる様な映画であった。
フィクションを集積させてリアルを描くフェリーニのこの表現法には脱帽するしかない。
自分もいつか若い日々をこう懐かしむ時が来るのだろうか。それを斯くもノスタルジックに且つリアルに映画で表現できたフェリーニは幸せではないかと思う。