バナバナ

誰がためのバナバナのレビュー・感想・評価

誰がため(2008年製作の映画)
3.0
第二次大戦中のデンマークで、国を占領したナチスやゲシュタポを暗殺する、若きレジスタンスの実話。

主人公の二人は、23歳・独身のフラメン(炎)と33歳・既婚者のシトロン(レモン)。
この二人が所属するレジスタンスグループは暗殺が専門。
二人は常にコンビを組んで行動しているが、シトロンは後方支援で、暗殺を実行しているのは若いフラメンの方。

だが、やがてシトロンも手を染めるようになり、既に30代で妻子もいるシトロンにすれば、ナチスの協力者だとしても最初の一人を殺す時は、猛烈な恐怖と苦悩が襲う。
しかし、段々麻痺していくところが怖い。
一方フラメンは、非情に人を殺せるけど、暗殺者になった動機も若いだけに結構純粋。
年上の謎の女に惹かれたりと、「お主、青いのう」と言いたくなるようなカワイイところもある。
しかし、これが崩れてくる。
こういう組織は横の繋がりが末端の人間達には分からない様になっているので、誰が密告者か、誰の情報が正しいのかが、分からなくなってくるのだ。

彼らがやってきた事は暗殺である。
もし今までの情報がガセだったとしたら、自分達がこれまでやってきた事は何だったんだ!?と、アイデンティティの崩壊になってしまう。
そこんところの、二人の葛藤と苦悩を描いています。

当時のデンマークの警察や消防上層部も反ナチで、
フラメン達の上司も警察の幹部、というのがすごい。
もし日本の役人だったら、ナチスに媚びて“甘い汁”を吸おうとする人間が、もっと多いのではないか、と思います。

デンマークでは有名な人物、話なのだそうだが、こういうレジスタンス物に慣れていない日本の若い人が見たら、話の筋が分からないまま終わってしまいそう。
それ程、途中まであまり説明が無く、淡々とした演出です。
私も派手好みなので、素材は良いと思うけど、これ位の点数になりました。
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