もとまち

誰がためのもとまちのレビュー・感想・評価

誰がため(2008年製作の映画)
3.8
温度の低い、陰鬱なトーンの画面。ロングコートを羽織り、古びたデンマークの街並みを歩くレジスタンスの男二人。メルヴィルを思わせる上質なノワールタッチの画作りがとにかく美しい。
しかしそんな雰囲気をぶち壊すかのように現れる唐突なクローズアップの演出は何なんだろう。タランティーノみたいで失笑。

話自体はなかなか複雑で込み入っているが、第二次世界大戦当時のデンマークの情勢を描いた貴重な映画であると思う。
トゥーレ・リントハートとマッツ・ミケルセンの儚い色気もたまらない。
人を殺すことのやるせなさに心を蝕まれ、家族とは行き違い、女や仲間にも裏切られ、最後は散っていく。切ない。
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