イチロヲ

座頭市鉄火旅のイチロヲのレビュー・感想・評価

座頭市鉄火旅(1967年製作の映画)
3.5
旅芸人一座と共に足利(栃木県)を訪れた座頭市が、愛用の仕込み刀が朽ちているのを契機にして、人斬りから足を洗おうとする。勝新太郎が盲目の侠客を演じている、人気時代劇シリーズの第15作目。

市の仕込み刀を製作した鍛冶師の弟子(東野英治郎)が登場。市の手元から刀を離すことにより、去勢状態とアイデンティティ崩壊を表現している。また特別出演では、女芸人(水前寺清子)と博打好きのちゃっかり者(藤田まこと)が起用されている。

仕込み杖を手放した市は、按摩師として就活を開始。旅籠屋を経営する姉弟(藤村志保&青山良彦)と接触するのだが、市が最期を看取った親分と繋がっており、関八州取締役と権力者に目を付けられたものだから、結局はいつもの立場に戻される。

痛し痒しのスパイラルに落とされていく過程が見どころ満点。「あと一太刀で仕込み刀が折れてしまうこと」を胸に秘めながら、心理戦・諜報戦を仕掛ける展開が、大きな醍醐味となっている。
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