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ホタルのodyssのレビュー・感想・評価

ホタル(2001年製作の映画)
3.0
【悪くはないけど】

BS録画にて。

健さんと田中裕子(は好みじゃないのでロードショウはパス)が主演。
元特攻隊員だった主人公が、生き延びて昭和戦後を鹿児島の漁師として暮らし(ここに特攻隊の知覧基地があった)、昭和天皇逝去に接して昔の仲間やその孫娘などと会ったり、朝鮮半島出身で特攻で散った仲間の遺品を親族に届けようと韓国を訪れるというエピソードが盛り込まれています。

特に前半は淡々と話が進みますが、まあ老人の物語ですから、これも悪くないなと思いながら見ていました。

昭和天皇の逝去は昭和64年(1989年)初頭。つまり戦争が終わってから43年以上にわたって元特攻隊員の健さんは漁師として暮らしてきたという設定ですから、年齢的にはその時点で60代前半でしょう。

でも、この映画は2001年に公開されているんですね。健さんはすでに70歳。
そのせいかどうか、声がちゃんと出ていないんですよ。他の俳優の発声に比べると、なんかちょっとかすれた感じで、声が通らない。ちょっとマズいんじゃないかと思いました。

老人が多い映画である中で、だからこそと言うべきか、健さんの仲間の孫娘役の水橋貴己(たかみ)が清新な印象で目立ちます。撮影時おそらく15歳。その後あまり活躍することなく姿を消した女優ですが、この映画は彼女のメモワールとして貴重。

また、田中裕子の若い頃を演じた笛木夕子もよかった。私は田中裕子は(若かった時分でも)「別に」なんですけど、笛木夕子なら嫁さんにしたい(笑)。

ただ、韓国のシーンはどうでしょうか。

まず、年寄りの世代が全然日本語ができないのが変。あの世代は日本語ができるはずですよ。

また、戦後世代の韓国人は反日教育を受けているからああいう態度をとるのは分かりますが、日本支配時代を生身で知っている韓国人は、「日帝時代」が抑圧だけではなかったことは分かっているはずだし、だからこそ朝鮮半島出身で特攻隊に志願したりする若者も出たわけで、その辺はもう少し複雑に作ってもわらわないと、と思いました。

朴正熙大統領(女性の朴大統領の父)は、日本支配時代に陸軍士官学校で優秀な成績を修めて将校になった。彼は士官学校でもその後の軍務でも特に差別的な扱いは受けなかったので、反日的感情は持っていなかったというのは、わりに有名な話です。
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