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ホタルのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

ホタル(2001年製作の映画)
4.6
鹿児島の南の果てで、漁師・山岡(高倉健)と妻の知子(田中裕子)は40数年お互いを支えあいながら静かな暮らしを続けていた。山岡は生き残った特攻兵として、知子は沖縄の海に散った特攻兵の許嫁として激動の時代の傷跡を背負い生きていた。時が平成に変わった頃、山岡は妻の余命がいくばくもないことを知り、特攻隊時代の山岡の部下だった藤枝(井川比佐志)が八甲田山で自決したことを知る。そんな時、特攻隊時代に山岡たちが世話になった「知覧の母」富屋食堂の女主人山本富美子(奈良岡朋子)から、金山少尉(小澤征悦)の遺品を韓国へ届けてくれるように山岡は頼まれる。山岡は、妻知子と半生をかけて抱えていた苦悩にケリをつけるべく、妻知子と韓国に渡る。
たったひとつしかない命を犠牲にする理由を苦悩して特攻して行った特攻隊の覚悟や苦悩、死に場所を失くした藤枝の苦悩、愛する者や友を失くした山岡や知子の苦悩、生き残った者が次の世代に伝えていくことが戦争で生き残った者の使命と思える反戦映画としては心揺さぶられたけど、戦争で愛する者を失くした同じ苦悩を抱えた者同士の山岡と知子の夫婦愛の物語の面が薄くなった。高倉健と田中裕子のナチュラルな夫婦関係とクライマックスに歌われるアリランが、心沁みるヒューマンドラマ映画。
「ふたりでひとつの命じゃろうが」
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