菩薩

性賊 セックス・ジャック いろはにほてとの菩薩のレビュー・感想・評価

3.6
彼らが目論む「革命」は革命で無く、彼らが口走る「薔薇色の連帯」は連帯では無いし、その行為はもはやSEXですら無い。全てがフラストレーションに裏打ちされたマスターベーションであり、そもそもプロレタリアートでも無ければテロリストでも無い。各セクト同士の党派抗争に陥り必然的自滅を遂げた似非世界革命運動、だらだらと傷を舐め合い、理想ばかりを宣い臆病風に吹かれながら、周りの出方を伺い何も手を出せずに膠着して行く集合体、それとは対照的に軽々と解放の為のテロリズムに邁進して行く驚異的な「個」の力。天誅、それこそがこの国家に対し個が為すべき報いである。失望の70年安保、希望のよど号ハイジャック、それでもこの国は変わらず、今もなおその川を渡れずにいる。他人に裏切られるよりも早いスピードで自分を裏切らなければ人殺しひとつ犯罪ひとつできやしない、それが個の強さ、孤独なテロリストの潔さ、我々は明日のジョーにならなければいけない。
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