チッコーネ

モンテ・ウォルシュのチッコーネのレビュー・感想・評価

モンテ・ウォルシュ(1970年製作の映画)
4.0
西部劇でそれらしい見せ場も数多く含まれているのだが、そのすべてに「滅びゆく伝統」、「老境の訪れ」、「終わりの予感」、そして「最後の仕事」という諦念と哀愁が付きまとう異色作。
マイナーコードが効いたジョン・バリーの音楽も、見事に嵌っている。
前半は非常にほのぼのとした雰囲気だが、エピソードのひとつ一つがくっきりと独立しており、演出も繊細。
巻煙草を交えた濡れ場は名場面だ。
主人公が自分自身の中に潜む荒馬を諫めるような、やり場のないロデオシーンも大迫力の一言!スタントの苦労が偲ばれた。

追い詰められ犯罪に走るカウボーイの姿と、「家族も養えない」彼らの経済状況は日本の浪人にも通じるものがありそうで、その実態をもっと知りたいという好奇心が湧く。
ジャンヌ・モローが出ていなければ観ていなかったと思うが、意外や観応えは充分だった。