Lisa

水の中のナイフのLisaのレビュー・感想・評価

水の中のナイフ(1962年製作の映画)
4.5
ポランスキー長篇デビュー作である今作は、通常とは全く異なる意味合いでネタバレしては面白さが半減してしまう作品である。倦怠期の夫婦と青年のヒッチハイカーという登場人物わずか3人、舞台もほぼ夫婦の所有するヨット上のみと、ワンシチュエーションドラマであるが、モノクロの画面上には様々な技巧や、そしてメタファーが張り巡らされている。ただ過ぎていくばかりの日常の中に異物が入り込んだ途端に自衛本能を働かす男。流れのままに身を委ねる女。そして異物であるはずの、彼のリビドーの煌めきたるや。最初期の作品であるにもかかわらず、大好きな”ローズマリーの赤ちゃん””戦場のピアニスト”同様、これもたしかに美しくもグロテスクなポランスキー作品であった。
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