一人旅

ユーズド・カーの一人旅のレビュー・感想・評価

ユーズド・カー(1980年製作の映画)
4.0
TSUTAYA発掘良品よりレンタル。
ロバート・ゼメキス監督作。

道を隔てて向かい合って並ぶ二件の中古車店で繰り広げられる客の過激な奪い合いを描いたスラップスティックコメディ。
ロバート・ゼメキスの初期作品。
バカバカしくも笑える演出のオンパレード。ライバル店の客を文字通り“金で釣る”シーンが最高に面白い。釣り糸に括り付けた現ナマを客の目の前にスローイン!客が現ナマに喰いついたら、すかさず高速巻きで自分の店まで引っ張り込むという驚異の荒技。雑然と並ぶ中古車のコンディションも廃車レベルに酷い。走行距離を誤魔化すなんて朝飯前。販売員がくちゃくちゃ噛んだガムを接着剤代わりにパーツを無理矢理くっつける。割れたフロントガラスはプライスカードでしっかり隠し、“状態良好”として販売する。セールストークも口八丁手八丁。巧みなトークと勢いで客を騙し、廃車寸前のオンボロ中古車を売りつけるのだ。店の宣伝スタイルも常軌を逸していて面白い。大統領の演説やアメフトの試合中継を電波ジャックして店のCMをバンバン流す。法的には完全アウトなのだが、連中はそんな細かいことなどお構いなし。ライバル店を潰すためにあの手この手で客を奪い合っていくのだ。兄弟同士なのに憎しみ全開で激しく対立する二人の中古車店経営者の情け容赦ない言動もブラックユーモアたっぷりに描かれる。自分の店を繁盛させるために、本気で肉親を殺しにかかるのだ。
そして、上院議員になる野望をもつ販売員ルディと経営者の娘バーバラの恋の顛末や、数百台の中古車が荒野を爆走する圧巻のシーン(『シマロン』へのオマージュ?)など見どころが盛りだくさん。コメディにアクションにロマンスに大忙しの破天荒映画だ。
主人公ルディに扮したカート・ラッセルはびっくりするくらい若い。少し長めのヘアスタイルが新鮮で、若い頃のジェフ・ブリッジスそっくり(年齢も2歳差)。エンドクレジットが流れるまで気付かなかったが、両方の中古車店経営者を名優ジャック・ウォーデンが一人二役で演じている。
一人旅

一人旅