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さすらいのカウボーイのninjiroのレビュー・感想・評価

さすらいのカウボーイ(1971年製作の映画)
4.8
冷静に考えると色々と凄い事が行われている映画。
ウェスタン物ということで、異時代性を特色としているという訳ではなく、明らかに舞台を過去に借りた現代劇という仕立てだからこそ。
ブルース・ラングホーンの素朴且つ印象的なギターに乗って、乗っけから観る人の想像を掻き立てるエゲツない描写。
全てが淡々と詩的な描写でありながら、観た後に確実に残るゴツゴツとした違和感は一体どこに起因するのか。
この映画を、この結末を、感傷的な男の独り善がりとして切り捨てる事は容易いが、そんなつまらない形容で収めてしまうには如何にも勿体無い。
家族、友情、孤独、愛、どれも当てはまってどれも物足りない。
人の心にはどんな形容をも寄せ付けぬ空白があるからだ。
人として生きる業のようなものが、静かに、しかし破裂しそうな程切実に詰まった傑作。