亘

パリ、ジュテームの亘のレビュー・感想・評価

パリ、ジュテーム(2006年製作の映画)
4.0
パリ20区各地ではどこかで愛が生まれている。パリの各区で起こる愛に関する18の短編を集めたオムニバス作品。

18の短編は舞台はどれもパリではあるけど、物語が起こる場所はエッフェル塔のふもとから中華街、墓地などそれぞれ様々な場所である。しかも出演者も孤独な老人からアラブ系、アフリカ系、時にはピエロやヴァンパイアまで。多様性に富んでたけどどれも"愛"という点は共通していて、"愛"といっても単なる男女の恋愛だけではないことが分かる。親子の愛もあれば昔の恋愛もあり人とヴァンパイアの愛もある。そんな各地で起こる人々の様々な愛の形を見せられて、アメリカ人観光客のパリの街への愛で終わるという終わり方はこの題名にもあっていたし、様々な人を受け入れるこの街の懐の深さのようなものを感じた。

個人的に特に気に入った作品は9番目の『エッフェル塔』と10番目の『モンソー公園』、15番目の『ペール・ラシェーズ墓地』。『エッフェル塔』はピエロカップルがシュールだけど可笑しかったし、『モンソー公園』は謎の男ギャスパールの正体と映画の予定に騙された。そして『ペール・ラシェール墓地』は故人がアドバイスをくれるという設定が幻想的だったし、人生に笑いが必要だという教訓を得られた。

印象に残った短編:
『ショリジー門』-男の成功がシュール。
『エッフェル塔』-ピエロカップルがシュールで可笑しい。あの子もピエロになるんだろうか。
『モンソー公園』-ずっとギャスパールに騙されていた。
『マドレーヌ界隈』-1つだけSFホラー風。血の感じがスプラトゥーンみたい(笑)。
『ペール・ラシェール墓地』-故人の出現はありがちといえばありがちだけど、少しほっこりする。
『フォーブル・サン・ドニ』-回想の時間の経ち方が印象的。

余談
今作ではパリ20区中18の区が物語の舞台になってますが、ここに含まれなかった2区(11区と15区)の話もあるそうです。DVDには特典でついてるらしいです
亘