さすらいの雑魚

クローズ・アップのさすらいの雑魚のレビュー・感想・評価

クローズ・アップ(1990年製作の映画)
4.0
名古屋シネマテークにて、現代アートハウス入門vol2の初日にて鑑賞。
雑魚は、キアロスタミ監督の名前くらいは知ってて、事件の関係者自身を本人役に起用して撮ったとの伝説は何かで聴いたな、レベルで鑑賞し驚愕。
とても素人の演技とは思えない。
転がり込んだチャンスにハイテンションなオヤジの軽薄も、映画業界に憧れる坊やの青さも、貧しさ故に傷つき仮面の人生に充実を求めた男の後悔も、見入ってしまう生々しさ。
特に犯人/本人役のサブジアンの重厚な存在感は、例えればクリント・イーストウッド級と言うか雑魚は魅了されてしまったぞ。
裁判官から問われて監督より俳優を選びたいと言ってたサブジアンは俳優になったのだろうか?と気になってしまった。軽くググった感じでは出てこないけど、適性あるとおもうけどなぁ。
本物のマフマルバフ監督とサブジアンが単車でニケツで被害者宅へ向かうシークエンスはこれだけでも素敵なロードムービーとして成立しているぞ。
でもな、本物役、偽物役、被害者役のすべてが本人出演なんて小説だって難しい、最早おとぎ話の世界と思うのだよ。
どこまでがドキュメントでどっからが演出なのかも定かでなくなる深田監督曰くのマジックリアリズムの境地。
限界突破なリアリズムは神話や童話の領域に突入するのだな、と呆気に取られてスタッフロールを眺めてた雑魚な訳だ😓