このレビューはネタバレを含みます
すごく不思議な映画でした。
こういう実際のドキュメンタリーシーンと撮影された演技のシーンを織り交ぜた技法の映画をセミドキュメンタリーというらしいです。あまり触れてこなかったジャンルなので驚きました。
主人公はマフマルバフ監督であると偽り、映画を撮ろうとある一家に近づいていく。この嘘で本当の目的は窃盗だと疑われるが主人公は本当に監督に憧れており自分自身も監督になりきることをダメだと分かっていても辞めれずにいる。観ていてなにやっとるんや!とツッコミたくなるけど裁判で話を聞くと動機は純粋だったり、家庭環境が良くなかったり、失業していたりなど同情してしまった。そして出所後にマフマルバフ監督本人に迎えられ、一家に謝りに行くところは感情を揺さぶられた。インターホンで小さい声でマフマルバフと言う所とか、、
監督になりきるというぶっ飛んだ行為で結局はこの映画でら本人役で俳優をやっていて、本物の監督にも会えるとはなんとも不思議な運命だと感じた。ラストの監督本人のお出迎えとバイクシーンはドキュメンタリーらしいのだがマイクの故障で音声が途切れ途切れなのも偶然が生み出した演出でこれもまた良くてここでも恐ろしい運を感じる。預言者の家系。。
この作品が完成した後、キアロスタミ監督からサブジアンに短編作品の出演依頼をして彼は喜んだそうだがその作品の打ち合わせに向かう途中に喘息の発作に襲われ4ヶ月間昏睡した後52歳という若さでこの世を去ったのだという。彼は最後にサブジアンとして認められ映画の仕事が出来て幸せだったと思う。