エリオット

クローズ・アップのエリオットのレビュー・感想・評価

クローズ・アップ(1990年製作の映画)
4.5
せっかく2週間もキアロスタミの追悼特集をしてくれてるのに仕事とかでこれしか見られないのが大変残念…しかし、この作品自体は非常に面白かった。

冒頭、あるジャーナリストが憲兵を連れてタクシーで知人の家への道を急いでいる。なんでも有名な映画監督を騙る男がその知人の家に入り込んでそこで映画を撮ると言って資金を出さそうとしているとかいないとか…男は憲兵にあっさり逮捕される。
ところがその事件に興味を持ったキアロスタミ監督がカメラを持って留置場へ行き男にインタビューを始めるあたりから観客はこの映画が虚構(演出)なのか現実なのか混乱してくる…
実際の裁判を撮りつつ(それも本物かどうかは謎だが)その供述の再現映像は本人たちが演じているなど、物語はその後も虚実の皮膜の間を行きつ戻りつ進行するのだが、最後はなんだか感動させられてしまう。
まさに映画の魔術師としか言いようがないキアロスタミの手並みにまんまと乗せられた。
エリオット

エリオット