停滞

クローズ・アップの停滞のレビュー・感想・評価

クローズ・アップ(1990年製作の映画)
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人は役割を与えられることでその役を演じている一方で無職のサブジアンはマフマルバフという他人を演じてしまった。それ願望やん。映画監督として振舞うことが気持ちよかったみたいに言っているけど普通そこまでしないよね、なんでそういう行動に至ったのかというのは明らかにされていない。光を当てて何かをわかるように提示していない、むしろこの世は奇怪な人がいるもんだなと感じた。

監督によれば事件を聞きつけて撮影をすぐに開始したもののもちろん素人のサブジアンがどう行動するかは未知数でプロットもなかったから撮影期間(約40日だったかな)はほとんど寝れず映画自体は勝手に出来上がって行った、音が取れていなかった部分は「カンバスに絵の具が垂れても心配するな。くよくよする代わりにその滴り落ちた絵の具を自分の絵の一要素として利用し、そこから別の何かを発展させてゆくのだ」との画家オーギュストルノワールの言葉から肯定的に捉えるとのこと。ポジティブだなおい。
のちのサブジアンは映画の仕事を少しもらえたりもしたが闇市場でDVDの売買をして生計を立てたりしたそうでまぁそんなもんか。
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