jigsaw

127時間のjigsawのレビュー・感想・評価

127時間(2010年製作の映画)
5.0

強い!ポジティブすぎる主人公。

知り尽くした地帯、慣れすぎた悲劇。
それらが油断を招き、軽装備で足を滑らせて転落。
グランドキャニオンの狭間で大きな岩が自らの片腕をがっしりとロックし、動きが制限された状態。
呼べど叫べど誰にも聞こえない。自分がここにいる事など誰も知らない。
見上げればすぐそこにはいつもと変わらない穏やかな光景。陽光が降り注ぎ、空は蒼い。

この作品の印象的な点は、主人公が究極のポジティブだという事。
自らが置かれた絶望的な悲劇などまるで気にしていない様に陽気。ただ陽気。
お陰でシチュエーションスリラーの様なサバイバルパニックのはずが陽気なロードムービーに感じられてしまう(褒め言葉)。

限られた食糧と装備を駆使して様々な手段で凌ぎ、脱出を試みるも、現実はあまりにも無情で、彼を解放しない。
次第に強まる絶望と危機感。

最後に彼が下した決断は、決して切れ味のよくないサバイバルナイフで腕を切断する事だった。
あまりにも悲惨なジャッジながら、究極の状態に置かれた時、ポジティブさを忘れなかった彼の生き様と思考が、とても印象的な作品。
jigsaw

jigsaw