広島カップ

127時間の広島カップのレビュー・感想・評価

127時間(2010年製作の映画)
4.0
残念なタイトルです。こういう時こそ邦題は独自のものにすべきです。
127時間経つと何かしらの結末が来てしまうことを観る前にタイトルが予告してはいけません。
この過酷な状況が一体いつまで続くのか?気を揉ませてもらった方がもっと楽しめたと思います。

主人公の置かれた過酷な状況とは、ユタ州にあるキャニオンランズ国立公園にキャニオニングに出かけた際、地表の狭くて深い割れ目に転落し右手を岩の間に挟まれ身動きできなくなった状況のことです。

不意に襲ってきた不幸でしかも身から出た錆といってもよい苦境に対峙する彼の生命力が問われる場面が続きます。

主人公は動けないわけで見せるものはザックリ分けると彼の身体と心の中の二つ。
両者を手を換え品を換えして弛みなく展開させて行くのが見事です。

時間の経過と共に削られて行く体力の変化と脱出の為にとる考えられる限りの具体的な行動をリアルに描き、精神面からは死んでたまるかという意志と絶望感や後悔から色々と湧き出てくる過去の思い出や妄想幻覚を描きます。
人の生命力が試されることがテーマの作品はこれまでも色々とありましたが本作はこれを突き詰めていて秀逸です。

実話だそうで絶対に生き抜くのだという主人公の強さには敬服します。
広島カップ

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