竜平

127時間の竜平のレビュー・感想・評価

127時間(2010年製作の映画)
4.2
アメリカはユタ州、ブルー・ジョン・キャニオンにて不慮の事故に見舞われる「アーロン・リー・ラルストン」という人物の姿を描く。

これは人生のターニングポイントとでも言うべきなのか。なんとも「怖いもの知らず」な雰囲気を醸し出す一人の男に降りかかる、衝撃の実話。そう、本当にあった話ってんだからもう開いた口が塞がらない、いやマジで。今作は主人公を演じるジェームズ・フランコの、ほぼワンシチュエーションでの一人芝居となる。ダニー・ボイル作品としては直前に見た『28日後…』にも通ずるような、序盤の得も言われぬハラハラ感、からの運命を変えるその一瞬の出来事。約90分の上映時間、ちゃんと保つのかと、きっと心配になるところだけども侮るなかれ、ダニー・ボイルの「節」が満載の映像演出だったりなんとも見事な音楽の使い方だったり、そしてなんと言ってもそのヒューマンドラマで画面に目が釘付けになる。主人公が過去、記憶、人生といったものを見つめ直す様、自分自身との「対話」、これは描写重視で説明も少なかったりするんだけど個人的にはこの「想像させる演出」は非常に見事だなと。いやしかし後半はとくに壮絶、あまりにも壮絶。極限状態。久々の、そして二度目の鑑賞だったけど、忘れてたその凄まじさを思い出して悶絶したってのはこっちの話。ストーリーとしてはグッとくるし感動も覚えるし嫌いなんてことは一切ないんだけど、もう二度と見ないかな、というか見れないかな。ちなみに『デッドプール』でサラッと今作のネタバレをされるから要注意、ってのは見たことある人からしたら完全に笑いどころ。

いやはや、こんなに過酷な「自分探し」見たことない。普段何気なく生きてる日常を、いつもとちょっと違う角度から見れる秀作。どこかへ出かけるときに、行き先は必ず告げようね。
竜平

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