kou

歓びを歌にのせてのkouのレビュー・感想・評価

歓びを歌にのせて(2004年製作の映画)
4.0
《人の心を開く音楽》
ケイ・ポラック監督。スウェーデンの映画で、とても感動的な、音楽についての映画だった。僕の勉強不足かもしれないが、今作はもっと名作として万人に見られてもいいんじゃないかと思った。それほどとてもいい映画だった。

主人公ダニエルは音楽を通して人の心を開きたいという夢を持っている。現役でバリバリと指揮者として活躍していたダニエルはある時心筋梗塞で一線から退く。彼は故郷の町で療養することになる。そこで街の聖歌隊への参加を求められるという物語。聖歌隊のメンバーはそれぞれコンプレックスを持ったものたちで、歌を通じて、人と関わることを通じて、彼ら自身が変わっていく。

特に感動的なシーンが2つ。1つはガブリエラという夫からのDVに悩み、自分の気持ちを表現できない女性が、歌の力を借りて自分の心を開く場面だ。その曲の歌詞、力強い声、本当に感動的で号泣した。もう1つは、ラストシーンだろう。この2つのシーンに共通するのは、ダニエルが音楽を通して人の心が開いた瞬間を目撃しているという事だろう。特にラスト、それは音楽のすばらしさを切り取り、とても感動的だった。

登場人物にしっかりとスポットを当て、難しい題材ながらも、決して安易な結論に至らず、それでいて愛にあふれている作品だと思う。名作としてより多くの人に見てもらいたい。
kou

kou