April01

007/ワールド・イズ・ノット・イナフのApril01のレビュー・感想・評価

3.8
メガネボンド👓初登場!かな?ブロスナン似合ってる。
一番良いのはガールの立ち位置が二転三転して最後までわからないこと。で結局お決まりコースについてはボンドの女好きな性分上そうなっただけであって、わりと関係ない、どうでもいい。そのどうでも良さを定番の型にはめて強引に通したからチグハグになってしまった気がする。あのガールとの後日談なんかいらなかったんだよ!役に合わないセクシーキャストをぶちこんでこだわる必要はなかった。そこを修正して完全にシリアスボンドとして完成していればな~。

何と言ってもソフィー・マルソー演じるエレクトラとボンド、さらに心理的に変な関わり方してくるレナードの物語、とシンプルに見るとすごく魅力的な深いお話。
エレクトラが愛する人を失ったことがある?とボンドに尋ねた瞬間から(ボンドは答えずはぐらかす)かつての「女王陛下の007」が脳裏に浮かび、スキー滑走がチェイスになるシーンではあの作品でも同じような場面があって・・・と気持ちが離れない。さらにポーカーする場面もあちらを彷彿とさせるしその時ボンドがエレクトラを心配する表情が仕事上の感情に過ぎないとはとても思えなくて。レナードが絡んできて色んなことを言った時のボンドの怒りにはボンドらしからぬ醜いジェラシーを見た気がする。
生死をかけた2人のやり取りは見ごたえがある。そこに絡むロビー・コルトレーン演じるズコフスキーにも痺れる!

ブロスナンになってから、言葉遊びのような独り言のように呟くシニカルなジョークが多くてクスリと笑える場面が増えてる。それとMやマネーペニー、今回は組織所属の女ドクターまで巻き込んで大人のキワドイ会話が結構あるけれど、それらがこのボンドの世界では下品でなくウィットの効いた洗練された上級トークに聞こえる不思議。

Mを演じる人は変わったけれど、男でも女でも関係ないキャラクターとしてのMの一貫性を感じる場面は嬉しい。それは007に対する信頼とリスペクトの言葉であり、かつてのMも本人には言わず他の人に言った点でも同じ、「サンダーボール作戦」で。

アクションは特に序盤のテームズ川のボートチェイスが迫力あって良い。ロンドンの薄曇りの空と川辺に並ぶビル群がいい雰囲気、特にM16本部のあるSISビルとミレニアム・ドームは見逃せない。橋の下にダイブしてネクタイ直すボンド、最高!

デスモンド・リュウェリン演じるQとのお別れの予感にめちゃくちゃ寂しい気持ちに。舞台から退場するように降りていく演出は、当のボンドが軽い感じで話しかけているのが余計にそう取り繕っているように見えて寂しさが増す。本当にQの存在が好きだった、デスモンド・リュウェリンさん、有難う!

ジェームズ・ボンドのテーマのリミックスがエンディング曲になっているのも良くて、生死と愛に惑わされずハードに生きるという物語にピッタリの余韻が残る。



語録

I could've given you the world.
The world is not enough.
Foolish sentiment.
Family motto.
April01

April01