みんと

突然炎のごとくのみんとのレビュー・感想・評価

突然炎のごとく(1961年製作の映画)
4.1
何とも文学的で刹那的。

ヌーヴェル・ヴァーグの騎手フランソワ・トリュフォー監督がジャンヌ・モローに捧げたとされる名作を鑑賞。

いや~ジャンヌ様の地で行く悪女っぶりに引き込まれた。最強の破天荒ぶりだし、自由奔放さは突き抜けてる。彼女以外じゃ到底 成立しない作品だった。

親友同士の2人の男と1人の女が織り成す長きに渡る三角関係を綴ったラブストーリー… と言うと聞こえが良いけど、全く感情移入も出来なければ共感なんて皆無。

コロコロ変わる感情と驚きの行動、エキセントリック極りない女性像に嫌気半分興味半分。… なんだけど、同時に男だったら振り回されてみたい衝動も。笑

それにしても、強烈に印象に残るシーンの数々。
顔に髭を書いて疾走するモロー、深夜のセーヌ川に飛び込むモロー、自転車で風を切るモロー、2人の男に抱えられるモロー、男に平手打ちのモロー、そして衝撃のラストシーン…

釘付けシーンの数々がどれも唸るほど。

邦題『突然炎のごとく』があまりにもしっくり来るし秀逸過ぎるけれど、原題の通り“ジュールとジム“の視点で観るとまるで違う。複雑で屈折してるけどBL作品と受け取れなくも無くて。(そう感じたのは私だけかも知れないけれど)

ともあれ、ストーリーやメッセージなんてすっ飛ばして洗練された映像や斬新さを感じるカットや仕掛け、或いは文学的な台詞と言った芸術性の部分だけでも十分唸らされる作品だった。
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