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突然炎のごとくのEyesworthのレビュー・感想・評価

突然炎のごとく(1961年製作の映画)
4.6
【彼女は地上では幸せになれない】

フランソワ・トリュフォー監督の1961年の作品。

〈あらすじ〉
モンパルナスで出会ったジムとジュール。文学青年同士の二人はやがて親友となり、美しい娘カトリーヌと知りあった時も共に彼女に惹かれてしまう。だが熱烈にアタックしたのはジュールであった。彼はカトリーヌと結婚し、祖国に連れ帰る。だが、第一次大戦後、久方ぶりにライン河畔の夫妻の家を訪ねたジムは、ジュールからカトリーヌと一緒になって欲しいと請われるのだが...。

〈所感〉
トリュフォー監督作品ということで無条件に鑑賞。
内容的には男女三人のみにスポットを当てた三角関係が題材ではあるが、お互いの状況が変わっても、この三人は絶妙なバランスで友情と恋仲を保ち続けており、一切最後の最後まで関係が破綻しないところに、日本人には到底理解できないフランス人のオープンな恋愛観を見た気がする。ジャンヌ・モロー演じるカトリーヌがいわゆる激情型の女性で、タイトルの通りまさに突然炎のごとく、男を求めたり、かと思えば逃げ出したりとどうにも手に負えない。でも、それに振り回されるジムとジュールも案外満更でもない様子。寧ろその手に掴み取れない液体のような彼女の奔放さに魅力を捉え好いている。序盤から面白い場面だけを抜粋したような構成となっており、非常にテンポが良くて、堅苦しくない庶民の恋愛劇であった。カトリーヌがあまりにも勝手で自分の好みからかけ離れすぎていて最後まで好きになれなかったが、いずれこういうパンチの効いた食材も美味しいなと気付けるようになりたい。「彼女は地上では幸せになれない。幻なんだ。」この台詞に尽きる。
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