キャッチ30

突然炎のごとくのキャッチ30のレビュー・感想・評価

突然炎のごとく(1961年製作の映画)
4.1
本作のヒロインが女性解放の象徴と言われていることに私は違和感を感じる。確かに、ヒロインの行動は自由奔放だが、裏を返せば男に対する支配欲が強いと言ったら良いか。

話の軸は男二人女一人の奇妙な三角関係である。オーストリア人のジュールとパリジャンのジムは文学を通して親友となる。ジュールは内気で女を口説くにもひと苦労だがジムは全く不自由しない。そんな二人がカトリーヌという女と出逢う。ジュールは一足先にカトリーヌと結婚する。やがて、第一次世界大戦に突入し、ジュールとジムはそれぞれの祖国の軍人として戦線を生き延びた。やがて、作家になったジムはジュールとカトリーヌが住むライン河上流の山小屋に招かれる。

原題は「ジュールとジム」だが、本作の主役は何と言ってもカトリーヌだ。カトリーヌは他人から縛られることを嫌い、他の男とも関係を持つ。また、彼女は男装したり、セーヌ河に飛び込むといった大胆不適な行動を取る。彼女の行動原理は嫉妬かそれとも愛されたいという欲望か。そんなカトリーヌにジュールとジムは翻弄される。

本作は青春の影でとてつもない悲劇がうごめいているといっても過言ではない。トリュフォーは流麗なカメラワークや躍動する編集を用いて物語の支柱を支える。ジョルジュ・ドルリューの音楽も魅惑的だ。