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突然炎のごとくのmrhsのレビュー・感想・評価

突然炎のごとく(1961年製作の映画)
4.5
え?こんな映画だったの…?というのが率直な感想。というかなんなんだこの暗い映画は…。

男女関係の流動性が許容された地域でしかあり得ない映画であることは間違いないが、しかしシネマスコープサイズの画面に映し出されるのはうんざりする様な倦怠感なのだ。

この映画には有名な場面がある。主人公3人が橋を走り抜ける場面、ジャンヌ・モローがセーヌ川に飛び込む場面、そしてジャンヌ・モローのドレスに火が着く場面。

ところがこの3つの場面は序盤に出尽くし、その後は第一次世界大戦を挟んで主人公3人のダルな人間関係が延々と描かれるだけなのには驚いた。

はっきり言ってしまえば同じように男2人と女1人の関係を描き、撮影監督をラウル・クタールが手掛けたゴダール『女は女である』『はなればなれに』の様な誰が見てもわかる鮮やかさがある訳ではなく、既にこの時点(1961年)で新しい波(ヌーヴェルヴァーグ)であったかどうかも怪しいような映像で、多用される空撮も上手くいってるとは思えないのだが、映像の突き抜け切れてない感じが出口のないダルな男女関係に意図せずハマっているのも事実だろう。

というかトリュフォーの時々見せる暗さが本当に好き(一方で深刻なフリをしつつ、ほとんどギャグとしか思えないような『隣の女』とかも面白かったりするからトリュフォーは凄い)。
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