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満月 MR. MOONLIGHTのtakのレビュー・感想・評価

満月 MR. MOONLIGHT(1991年製作の映画)
3.2
低めの女声ボーカルがすっごく好きな時期があった。洋楽で言うならハートのアン・ウィルソン、シェリル・クロウ、エイミー・マンとか。自分がハイトーン出せる男子だったので、そうした音域の女声ボーカルがちょうど好きだったのもあるかも。音楽を離れても、低い声で上品な喋りをする女性の声を聴くのって好き。例えば…うーんと、チューリッヒ保険のCMの"山田様"の「通販型もいいかなっ…て♪」とか、ちょっとハスキーで好みw。

こほん。映画の話しましょうね。

この映画「満月」は、大森一樹監督が手がけたタイムスリップファンタジー。300年前の武士が1990年の札幌にタイムスリップ。彼を助ける現代っ娘とのラブストーリーだ。映画は冒頭、主人公の武士(時任三郎)が海辺に追い詰められる場面から始まる。

画面いっぱいの満月。そこにかぶさってくるのが、プリンセス・プリンセスの奥居香(当時)が低めのしゃがれた声で歌うMr.Moonlight。ビートルズもカバーした名曲だ。このオープニングに、上映開始数分でハートを射抜かれた。うっそぉー(80年代育ちは「マジかよ」って言えないんです)、これ好き♡。

そしてカメラが下に向かって目線を下げると現在のススキノが映される。スマートな導入。この先が少々難ありでも、この主題歌でほぼ許せる気持ちになっていた。

それまで観ていた大森一樹監督作とはちょっと毛色が違うと思った。吉川晃司三部作のクールさ、斉藤由貴三部作の突き抜けた感じ、「ゴジラ」の大胆さとは違う。全体的に落ち着きがあって、武士の頑なな生き方、原田知世演ずるヒロインの揺れる心情が伝わる。ビジュアルよりも情緒が心に残る映画だった。ねぶた祭りを見るシーンがよかった。

こんなに酒飲む役の原田知世を初めて観た。80年代の頑張ってる感じも好きだったけど、この映画以降の音楽活動が好き。ちょっとスレた感じで囁くような低めのボーカルなんよね。

試写会にて鑑賞。
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