砂利川権兵衛

蜘蛛の瞳/修羅の狼 蜘蛛の瞳の砂利川権兵衛のレビュー・感想・評価

4.0
復讐を成し遂げた男が過ごす暴力と虚無の日々。小康状態を保っていた夫婦の仲は妻が娘の幽霊を視たことで破綻に向かう。後の『降霊』を思わせるシークエンスだ。旧友との「ビジネス」もやがて破綻を迎え、男は自身の中に空いた「穴」と向き合うことになる。あまりに不気味な物語で背中に怖気が走った。

個人的ベストシーンは拳銃の売人がトラックの中から哀川翔の写真を撮るシーン。唐突で暴力的なその行為は黒沢作品の一側面をこれ以上ないほど端的に象徴している。