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狼の死刑宣告のSSDDのレビュー・感想・評価

狼の死刑宣告(2007年製作の映画)
5.0
普通のサラリーマンが突然不条理に殺された子供のために、悲しみを超えた怒りの感情を抑えられずに復讐する。
内容は単純だが、恐ろしくリアルな理不尽さが胸を打つ。

一人目のギャングメンバーに復讐をするタイミングですら運でしかなく、闇討ちで綺麗に復讐を遂げるわけでもない。
当たり前だ、ただのサラリーマンがどんなに身を焦がす怒りを覚えても戦闘マシーンにはならない。

元軍人や、育った環境で戦闘に長けているという、お決まりのセオリーはない。
ただ、現実的に平凡なサラリーマンが殺意を持っただけという"近さ"が、他の復讐劇にはない唯一無二に近いディテールになっている。
もちろん銃社会様の世界観"スーパーで弾丸を売っている"という日本ではファンタジーに近い現実社会ならありえる話だ。

"物語"のように突然全て思い通りにコントロールはできない。
どこまでいっても泥臭く、復讐が連鎖し満足とも言えない結果を手にするだけだとしても行動せずにはいられないほどの怒りはきっと血が沸騰し続けるような感覚なのだろう…。

溢れた水は盆には返らない。
現実と向き合うのは過去を認め、許し、すべてのクソを忘れながら生きること。

そんな子供の頃には知りたくもない事実をまざまざと感じさせる痛烈な作品でした。
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