キャプまる

コンタクトのキャプまるのレビュー・感想・評価

コンタクト(1997年製作の映画)
4.0
宇宙をテーマにしてはいるが本質は科学と宗教の対比、対立や人間の信仰心について描かれている作品だなという印象。

ストーリーは別の星からメッセージを受信し、意味の有りそうなメッセージや暗号が送られてきて、それを解読すると設計図になっていて‥と引き込まれるようなワクワクする展開があり、中盤では権力争いや科学と宗教の対立が描かれており最後まで飽きずに見られる。

主人公は科学者であり実証主義者で、証拠がないものは信じないことから神の存在も信じていない。一方で、神学者のジョスはある時に空を見上げて何かを感じ、それで自分は独りじゃないとわかり死さえも怖くなくなったと言い、それにより神がいると確信している。
主人公とジョスがまさに、科学と宗教の対比であり信仰心の違いを表している。

あの宇宙体験をすることによって、それまでに証拠がなければ信じない実証主義の主人公が周りから、幻覚を見ていただけではないかと問い詰められても、自分が宇宙に行きワームホールを抜けて美しい景色を見たことを否定できず、自分が体験したことを証拠が無くても事実だと信じるようになったのが序盤の主人公からの変化がわかり面白い。

尋問が終わった後、会場の外に出たら大勢の人が集まっており、なかには車いすに乗った子供もいて、人々は主人公が新世界を見たと信じており、主人公に触れるために手を伸ばしていた。

その様子がまるで神聖な存在に触れ、御利益を受けようとしているかのようにも見え、新世界を見た確かな証拠が無いにもかかわらず主人公が一種の信仰の対象となったことを表しているようで、科学から信仰が生まれる面白い展開だなと思った。

神学者のジョスの「科学と宗教は違いあれど真理の探究を目指すということは同じである」というセリフがこの映画のメッセージでもあり、劇中で描いた科学と宗教の対立への答えでもあると感じた。
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