堊

リトル・オデッサの堊のレビュー・感想・評価

リトル・オデッサ(1994年製作の映画)
3.9
父親自身が「24になると誰も父親のことを尊敬しない」と息子に語っているくだりで父親本人が口にする「父親」の一語はそうなるかもしれない/ならないかもしれない、未来の/過去の「影」でしかない。だが、登場人物誰しもが、なれるかもしれない/なれないかもしれない、だからこそ日々に苦しみを抱えている。ありえたかもしれない肖像としての「影」は彼らの間で反復され、真っ白なシーツに透けた影を撃つことで物語は終わりへと向かう。ラストにおける三人横並びの回想ショット内に満ち溢れた非現実感、「天国らしさ」に震えるのだが、そこでようやく本作の全体があっという間に霧散してしまうほどの白くない雪と見えない煙に覆われていたことに気づく。

ターミネーター2の美少年ことエドワードファーロングの若さにもビビるが、25歳でこんなシネフィル目配せ映画を撮ったジェームズ・グレイに一番ビビる。
思いっきりマイク映ってるカットが二箇所あったのだけど、マジ?
堊