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宮本武蔵のMASHのレビュー・感想・評価

宮本武蔵(1961年製作の映画)
4.5
『宮本武蔵 5部作』の第1作目。初めから5部作で作ることが決定していたため、正直序章の序章という感じではある。しかし、これがかなり面白いのだ。僕が持っていた宮本武蔵のイメージとは全く違う描き方で、かなり引き込まれた。どこか時代劇漫画を読んでいるような感覚に陥る映画だ。

僕の中の宮本武蔵はもっと圧倒的に強くスマートなキャラだと思っていた。しかし、この映画では非常に泥臭くてもいいからなんとか生き抜こうとしていく。かっこよさなんて全くなくて、でも負けん気だけは人一倍強い。とても人間臭いのだ。戦に負けたことで自分の生き方を否定され、それでもなお暴れることしかできない彼の姿は迫力がありながらどこか悲しくもあるのだ。そんな彼を萬屋錦之介は迫力あふれる演技で、グッと引き込まれる。
他のキャラクターもまた面白い。特に三國連太郎演じる沢庵師匠はとても印象的だ。師匠というよりも武蔵の前に立つ壁として描かれている。千年杉のシーンでのあのニヤニヤした演技は、憎たらしいながらもこの人には敵わないと思わせる何かがある。ヒロインのお通さんの演技は酷いもんだが、これはこれで初々しい感じが出ているのでギリギリありなのかもしれない。

まだまだこれからという所で物語は終わるので、少々物足りない感じはあるが、それ以上にオリジンストーリーとして非常に面白い。"剣の道"へと足を踏み入れた宮本武蔵。彼を待つのは天国か地獄か…

(それにしても音楽がどっかで聴いたことがあるなって思ってたけど、ゴジラと同じ作曲家なんだね)
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