ぽち

女優フランシスのぽちのレビュー・感想・評価

女優フランシス(1982年製作の映画)
1.0
完全アウトの作品。

フランシスの人生にインスパイアされて作られたフィクションとして見れば、普通に出来ているドラマなのだが、こんな出鱈目を伝記、実話として世に出してはいけない。

40年前という事と、関係者が無くなっていたりするので誰も名誉棄損で訴えなかったのだろうが、今ならその子孫などから賠償金を取られてもしょうがないぐらいの酷い描き方。

今作はフランシスの死後出た自伝などを元に描かれている。
特にウィリアム アーノルドが書いた『シャドウランド』から多くエピソードを作っているのだが、アーノルドは後に伝記の多くが「架空のもの」であることを明らかにしたそうだ。

もちろんこれは映画が封切された後の話で、制作中は脚本家、監督がこれらの伝記を信じて撮っていたのだと思うので、全責任を問うことはできないが、捏造発覚後に今作を封印しなかった責任は大きい。

またせめて「フィクションです」というテロップを入れなかったのも疑問だ。

それに母親のキャラや描写が特にひどい。
これは分かっていて故意に「悪役」として信じられないぐらいのモンスターとしたのだろうが、これではフランシスの母親リリアンがあまりにかわいそうだ。

病院からの脱走、ロボトミーなどすべてフィクション。もちろんハリーもいない。

退院後2回結婚してるし、復帰までに洗濯物の仕分けや帳簿係、秘書、ホテルの店員など職を転々としている。

今作は題名を変えるか、注釈をきちんと入れてフィクションであることを明確にするか、封印されるべき作品。



余談。
ちょっときついことを言うけど・・・・
レビューを書くときは責任をもって書くべきだと思う。

例えば今作のような全く事実と異なる「伝記」を見て、鵜吞みにしてしまい、実在の人についての意見をレビューとして書くことは「罪」ではないだろうか。

最低限、どこまで本当かを調べてからレビューを書くべきで、映画から得た情報を事実としてそのままレビューという形で拡散するのは、デマを広げて多くの人の名誉を傷つけていることになるのでは?

どこかのお国のように、歴史的証拠として映画をあげるのと同程度の愚行だと思う。

時間が無いのなら、せめて衝撃を受けたシーンについてだけでも調べるべき。ロボトミーは完全に嘘だと数分あればわかること。

デマを拡散する愚かな人間にならないように気をつけたいと思いませんか?
ぽち

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