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キートンの船出/漂流のKuutaのレビュー・感想・評価

キートンの船出/漂流(1921年製作の映画)
3.5
パブリックドメインなのでどこでも見られる。船内が丸ごと回転してのドタバタが楽しい。アステアやキューブリック、インセプションの先駆け?

トム・ダーディスが書いたキートンの研究本を最近買って読んでいる。今作について、キートン特有のペシミズムへの指摘が興味深い。それによると、チャップリンやロイドは「観客にとって滑稽か」判断し、時に船を沈ませるのだが、キートンは「この船は沈むことになっていた。だから今それは沈みつつあるのだ」という。物語の作り方、喜劇に対する考えが決定的に違う。今後もキートンを見る上で参考になりそうなのでメモっておく。

・家が豪快に壊れ、浮くはずのものが沈み、沈むはずのものが浮く
・海の絵を釘で打ち付けたら船に穴が空いて、絵の裏から水が漏れる
・閉鎖空間なので横移動、縦移動が少ないのが物足りない
・船の名前はDamfino=Damm if I know、「知らねーよ号」。機械に壊される人間、変わりゆく社会に対する悪態
・オチがいつになく不気味
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