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アラバマ物語のleylaのレビュー・感想・評価

アラバマ物語(1962年製作の映画)
4.3
傑作と呼ぶにふさわしかった。
「スタンド・バイ・ミー」的なハラハラする子供の冒険譚を主体にしながら、子供の目線だからこそ、ストレートに描けた人種差別と正義の物語。

終わってみればタイトルの意味も含めて深い話だった。 

👇以下、ネタバレ含みます⚠️








黒人差別が激しい南部のアラバマ州で、冤罪で逮捕される黒人男性の弁護をする弁護士一家の物語。

原題に大きな意味があって、父(グレゴリー・ペック)が子供たちに、銃の話をするシーンが重要になる。

「アオカケスは害鳥だから撃っていいが、害のないモッキンバード(ツグミ)は綺麗な声で鳴き、人には無害な鳥だから撃つのは罪だ」と。

途中で撃たれた狂犬病の犬は、アオカケスの意味なのだろう。
そして、冤罪の黒人はツグミである。

ラストに弁護士という職であるにもかかわらず、父は正義と家族のためにウソをつくことになる。彼がウソをついて庇う人は、ツグミだったから…。
その善悪の判断は人それぞれに委ねられるが、今作では善として描かれている。父の思いやりが善悪を超える。

子供たちに「人を理解するには、相手の靴を履いて歩き回れ」と言う。
相手を思いやる心を持つことの大切さを示す父に、この作品が家族の物語としても素晴らしいのだと思わされる。

最後まで姿を見せないブーの存在が大きかった。ブーを演じたロバート・デュヴァルが、言葉はなく表情だけなのにインパクトがあった。デビュー作だそう。

これは究極の理想の父親像だと思う。アメリカの良心と呼ばれるグレゴリー・ペックがピッタリすぎる。

子供たちの演技も子供の恐怖心を煽る映像も素晴らしかった!
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