このレビューはネタバレを含みます
公民権運動が盛んだった頃の作品とはいえ、ここまで白人が悪者に描かれた映画ってあるんだろうか。
ブーを法廷に出さないことは、公正な法の手続きに反する。しかし、世間の耳目からブーを守るには事件をうやむやのまま闇に葬るしかない、というアティカスの苦い妥協で物語は終わる。
アティカスが、何でも正直に口に出してしまうことでトラブルを起こす娘に「妥協という言葉を知っているか」と諭す場面、見ているほうはそうだそうだと思う。
ところが、良きパパで正義を貫くアティカスが最後に妥協するのを見て、苦い気持ちにならないだろうか。そこには、アティカスはアメリカの象徴であり、強くあるべきという偏見があるのかもしれない。
グレゴリーペックがめちゃくちゃかっこいい。髪型も眼鏡も服装も洒落てる。
子供のドキドキとワクワクが素晴らしくうまく描かれている。法定ドラマや人種差別よりも、見所は圧倒的にこっちだと思う。