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アラバマ物語のRIOのレビュー・感想・評価

アラバマ物語(1962年製作の映画)
4.1
ある女性の回顧録から始まる物語。1930年代のアラバマ州・メイカムで、幼い頃の筆者・スカウトと兄・ジェムは、弁護士である父親のアティカスと共に暮らしていた。無邪気で幼い兄妹だったが、父親の仕事をする姿を通し、この田舎町が抱える様々な問題を目の当たりにしていく。

放映があり再鑑賞。
好きな映画なのですがマークしてませんでした💦
題材だけに遣る瀬無さが胸を突きますが、穏やかで優しい気持ちも齎してくれる素敵な作品です。
作品の誠実な雰囲気を助長する、弁護士の父親を演じる主演のグレゴリー・ペックが本当にカッコいい!彼の俳優的イメージにもぴったりの役どころ。見た目はもちろん、紳士的で正義感溢れ、それでいて押し付けがましくないのがとても素敵なのです。しかし、間違いなくヒーローなのですが、まず第一に父親として描かれており、不完全さや愛ゆえの優しさ、人間らしい葛藤を持ち合わせているのも好感度の高いキャラクターだと感じます。
ただの法廷もの、または人種差別だけを語った作品ではく、父親の姿を見て通して成長した普遍的な少女の物語としても非常に秀逸。人生の大切なことに気づけた彼女の回顧録は、理不尽さが溢れる社会においても、結果的に素敵な人たちに囲まれる生活を招いた気がします。それが、こんなに素敵なお父さんのおかげだというのが素晴らしいですね。

もちろん、当時の南部に横行した人種差別についても充分考えさせられ、法廷ものとしても素晴らしい作品。トムを演じたブロック・ピーターズの涙ながらの証言シーンの演技には心揺さぶられ、大なり小なり事実でもあっただろう陰湿な差別者達には当然怒りが湧きます。長尺の法廷シーンですが、グレゴリー・ペックの正義感溢れながら抑えた演技も合わせて素晴らしく、作中最も引き込まれる場面です。
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