こうもハラハラさせる作品があったとは。
やはりスコセッシ、おそるべし。
まともに弁護してもらえなかった主人公マックスが、刑期を終えて出所後、
その弁護士に復讐を誓う。最初はちまちました嫌がらせだが、
次第にエスカレートしていき、最後は狂気に満ちた行動に出る。
個人的に、デ・ニーロを知ったのが結構遅めだったというのもあり、
悪人というよりは善人のイメージが強い。
しかし本作では、不気味な笑顔で標的に近づき確実に追い詰めていくという、
狂気”マックス”な役を演じている。
何を考えていて、次はどんな行動に出るのか予測ができず、
だんだんと精神が衰弱していく弁護士家族の描かれ方がなんともリアル。
デ・ニーロも最高の演技をしているが、何と言っても弁護士の娘役の
ジュリエット・ルイスが素晴らしい。
マックスが彼女の学校を突き止め、忍び込み、彼女をおびき出す。
そしてマックスの素性を知らずいち教師と勘違いしながら、
しかしマックス自身は標的の娘を完全に取り込むため、
二人の会話が繰り広げられる。
鑑賞しているこちらはもちろん二人のことを知っているため、
それを前提で見ているが、それにしても二人の演技合戦がすごい。
すでに名優として名を馳せているデ・ニーロに臆することなく、
年上の男性に不安は感じながらも何とも言えない魅力に引き込まれていきそうな
少女を見事に演じている。
その年のアカデミー賞に二人がノミネートされたのもうなずける。
最後のクルーズの上での攻防もスリリングで、次に何が起こるかわからない、
まさに弁護士家族の一員かのような、見ていて臨場感があった。
ちょっと冗長気味だったかなと感じた。
でも、やっぱりスコセッシとデ・ニーロのコンビ作品にはずれなし。