ShintaroOoooooo

ケープ・フィアーのShintaroOooooooのレビュー・感想・評価

ケープ・フィアー(1991年製作の映画)
4.1
モノローグが少なくスコセッシらしくない作風。
主人公の弁護士サムがかつて弁護した性犯罪者マックスにお礼参りを受けるというストーリーだが、逆恨みではないところがこの映画で重要なところだ。
マックスが嫌がらせをする理由が、本来弁護士は依頼人を信じ弁護を全うしなければならないが、サムが性犯罪を憎むため弁護に手ぬかりがあったからである。
また、サムは仕事以外にも難を抱えている。
浮気癖があり、妻リーとたびたび喧嘩をしており、娘ダニエルはそれに辟易し情緒不安定になっている。

つまり、サムが受ける嫌がらせやトラブルは因果応報と言えるのではないだろうか。
そしてマックスの存在は「おれは神」と言っているように、避けられない雷のような厄災ではないかと考えられる。
また、マックスはダニエルとの電話中に逆さに吊られた状態になっていたが、これはマックスが大アルカナの「ハングドマン」を象徴しているのではないかとも読める。
ハングドマンの正位置は「修行、試練、忍耐、抑制、自己研鑽の努力、成長のための試練」を示す。
また、ハングドマンは死刑囚とも呼ばれることがある。
裁判次第では死刑囚になる可能性のあったマックスと重なる。
すなわち、一連の出来事は単なるマックスによる逆恨みではなく、祖国と隣人を裏切り道徳に背いたサムが自ら招いた試練ではないだろうか。

試練を受けたサムだが、最後は救いのある終わり方だった。
もし、自らの手でマックスを殺していたら、普通の映画なら正当防衛だが、因果応報がテーマなのでサムは終身刑になっていただろう。
また、やはりこの映画一番の見どころなロバート・デ・ニーロの怪演だ。
サムの不倫相手ローリーを襲うシーンの後だったため、ダニエルとのキスシーンは非常に怖かった。
何をしでかすか分からない男を演じるのはデ・ニーロの真骨頂だ。
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