鋼鉄隊長

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズの鋼鉄隊長のレビュー・感想・評価

4.0
購入したDVDで鑑賞。

【あらすじ】
いつものように遊んでいたカスカベ防衛隊の5人は偶然にも閉館した映画館「カスカベ座」を発見する。そこでは何故か映画が上映されており、それを観た人は映画の世界に迷い混んでしまう…。

映画が終わることの切なさ。これこそが、この映画のテーマだと思う。映画というものは時間芸術であり、終わりがあるからこそ生まれる魅力がある。そのことを理解してこの作品を観るとさらに面白い。
この物語には「映画を終わらせたくない人」が登場する。その代表格は、物語の悪役ジャスティス・ラブ知事。彼の行動目的は物語を停滞させることに固執しており、そのためには手段を選ばない。そしてもう一人、今回のヒロインであるつばきちゃんも映画の終わりを望んでいないように思える。何故なら彼女の行動は物語の進行を妨げる役割を果たしているからだ。彼女は常に知事に従順な市民を演じることで、知事の悪政を市民の不満が爆発するギリギリの所で抑えているし、しんちゃんが「映画を進めるカギとなる人物(オケガワ博士やマイク)」に会うことに対しては必ず一度は妨害している。しかし一方で、物語が進展してからはジャスティス知事のように醜い妨害行為はせずに協力をする。このような「映画が終わるのは寂しいが、終わらないのはつまらない」とでも思っているかのような彼女の行動は、映画の登場人物で無く、正に映画を楽しんでいる観客そのものに見える。
ではどうして彼女は映画から戻った後のカスカベ座に居なかったのか。それは、カスカベ座を出てからの「日常」は「しんちゃん達の物語の世界」であり、物語の観客が立ち入ることが出来ないからではないだろうか。
鋼鉄隊長

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