ひろ

母情のひろのレビュー・感想・評価

母情(1950年製作の映画)
5.0
「自分が結婚する為に、我が子を他人に預ける」という行為を、本作では「仕方がない」と、主人公の周囲は感じている。これは現在との感覚をズレを感じる。
したがって、いま観ると「身勝手な母の話か…?」と思ってしまうが、その想いがガラっと変わる瞬間が来る。そして、そこからもう一つ展開があるのが面白い。
3人の我が子の預け先を探しながら、山田五十鈴登場でもうひと波乱。それだけやっても90分を切る。これだけやって90分を切るのが、説明し過ぎない美学。
長男だけ預け先が決まらないが、その決まらない理由は説明されるものの、母と預け先の「長男はお断りする」という会話は一切見せない強さがある。この省き方は、最近の日本映画ではあまり見かけない。
山田五十鈴と黒川弥太郎の行動も、説明となるような描写を少し描くだけで、一気に結果を持って来る潔さ!
長男のラストショットがあまりに美しくて泣く。
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