kojikoji

アウトレイジ ビヨンドのkojikojiのレビュー・感想・評価

アウトレイジ ビヨンド(2012年製作の映画)
3.5
2代目会長になった加藤(三浦友和)の下、関東の頂点に君臨する暴力団「山王会」は、政治の世界にまで勢力を広げていた。組織壊滅を目論むマル暴片岡は、関西最大の「花菱会」と対立させるべく策略を練る。そんな中、獄中死したはずの大友が出所する。片岡はまたしてもこの大友を利用しようと考える。

 私は第一作の「アウトレイジ」のレビューで
「『仁義なき戦い』をさらに煮詰めて、究極のところまで水分を飛ばしたらこの映画になりそうだ。」
 と書いたが、このビヨンドの面白さの髄の部分はまさに「仁義なき戦い」そのもの。権利闘争の面白さだ。
しかし仁義なき戦いの登場人物は個性があり人間味に溢れているが、この映画は全くそれはない。

 そんな中で、主人公の大友(北野たけし)の立ち位置は紛れもなく「広能昌三」そのものだ。
 大友が顔に大きく切り傷をつけた木村に謝るシーンは、この映画の中でただ一つ、生身の人間らしい言葉が語られるシーンだ。
 広能昌三が映画の中で一貫して吐露する、昔ながらの「仁義」を形づくる人間に対する愛情に繋がる言葉だ。
北野監督は大友にそんなシーンを用意している。映画の中では極めて異質なシーンだが、このシーンで少しホッとさせられるのも事実だ。

広能昌三は第一作のラストで、坂井の葬儀に乗り込み坂井の無念を語り、山守に銃口を向ける。この伝説のシーンに対し、この映画では大友は、木村の葬儀で、ヤクザを駒のように操ろうとする片岡に銃口を向ける。このシーンがどうしてもダブってしまう。意識的なのか、無意識か、いずれにしても相当の影響を感じるのだがどうなんだろう。

2023.02.13視聴67
kojikoji

kojikoji