ナガノヤスユ記

アウトレイジ ビヨンドのナガノヤスユ記のレビュー・感想・評価

アウトレイジ ビヨンド(2012年製作の映画)
4.0
山王会は勢力を増したらしいが、かつてのようなヤクザの強さは感じない。企業的な経済倫理と、出世に燃えるリアリストが主導権を握っている。人情味ある古風な若者は報われない。義理を尊ぶ任侠世界の崩壊がそこかしこに。武演じる旧時代のゴーストのような大友も、ギリギリのところで落とし前はつけさせるものの、仕えるべき上を失った姿は、迷いと憂いを帯びている。北野武の省略の美学は変わらず全編を貫いているものの、前作よりバイオレンスもユーモアも控えめで、些か歯切れ悪くも思えるビヨンド、続編じゃなかったら恐らく興行的にもハネはしなかったはず。それだけに、最終章の公開がひとしお待ち遠しくもある。