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恋愛小説家のtjZeroのレビュー・感想・評価

恋愛小説家(1997年製作の映画)
3.7
小説家のメルヴィンは、”超”が付くほどの変わり者。
・強迫神経症で、タイルや格子の舗道は絶対踏めず、必ず避けて通る。
・自宅ドアには、鍵が3つも4つも掛かっている。
・極度の潔癖症で手洗い用の石鹸は1回ごとに捨ててしまうし、レストランでは持ちこんだ食器しか使わない。スキンシップも苦手。
・毒舌で、常に相手を傷つけるようなことを言ってしまう。

…なんだけど、心根には優しいところがあり、アパートを追い出されそうになった隣人に手を差し伸ばしたり、難病の息子がいるシングルマザーに名医を紹介したりする。

こんなに分裂したキャラクターは、まず滅多にハリウッド製のエンターテインメントの主役にはならないだろうし、なったとしてもジム・キャリーが演じるような、ハイパーなコメディのありえないキャラなんかになりがち。

でも、本作でジャック・ニコルソンが演じたメルヴィンは、ちゃんと存在するかもしれないキャラクターとして成立しているし、もしかしたら身近にもいるのかもしれない…という説得力もある。

ニコルソンって不思議な役者さんで、ものすごく演技が巧く見える時もあるし、いつもワンパターンのパフォーマンスしか引き出しが無いようにも見える。

そんな彼の”つかみどころの無さ”が、このメルヴィンという役柄に十二分に活かされている。
”ムカつく”😡8割に、”チャーミング”💕2割を絶妙にブレンドしたような、ニコルソンのアカデミー主演男優賞に輝いた”芸”を味わう作品。
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