今回の男はつらいよはなかなか刺激的。
跳んでる寅さんというタイトルがついているけれど、実は結構跳んでるのはマドンナのほうで、その役がプライベートの性格もぶっ飛んでるという裏話も多い桃井かおりさん。
旅先で出会ったものの実は田園調布に住んでいる真性のお嬢様なのに、下町しか知らない寅次郎は、「田園地帯」と勝手に脳内変換してしまう。
なかなか今こんな漫画みたいなお嬢様と貴婦人然したお母様なんていないでしょうという、親子がとらやに来れば、まるでヨーロッパの薫りがほのかに香ってしまうようで、おばちゃんのヘンテコすぎる丁寧語がこれまた笑わせてくれる。
同じくブルジョワの布施博演じる婚約者もふたを開けてみれば寅次郎が足元に及ばないほどにできた青年で、手も足も出ない。
政略結婚からの真実の愛の気づきという時代劇にもありがちな日本人好みの展開にワクワクしながらも、若干色っぽさのある若き桃井かおりさんに改めて興味が湧いてしまう一作でした。