らんらん

朱雀門のらんらんのレビュー・感想・評価

朱雀門(1957年製作の映画)
3.0
時は安政年間、幕府と朝廷との交渉により有栖川の若宮と婚約をしていながら引き裂かれ、14代将軍家茂へと降嫁することになる和宮とそれに関わる者たちの物語

物語のキーとなるのはやはり和宮(若尾文子)で、朝廷側の一部(東野英治郎、小沢栄太郎)は公武合体を成立させ己の利益また朝廷の権力増加の為に暗躍する、一方相思相愛にもかかわらず引き離される若宮(市川雷蔵)と幼少の頃から一緒に育った侍女(山本富士子)を絡めた群像劇的な感じです
それ故に誰が主役ってこともなく浅く広くな感じがして、誰にも感情移入しずらいかなと

朝廷側がメインとなっている作品ですが言葉遣いなどなにかと武家風、完璧に再現しろとは言わないけどもうすこし公家風な雰囲気を楽しみたかった

あとは若尾文子って50年代と60年代ではやっぱり全然違うなーと、これはこれであどけなくかわいいくて良し、後年はしたたかさと美しさの絶頂、ただ物語的の鍵としては中心だけど出番はあまりなく見所もない

山本富士子の役は和宮と一緒に育った親友のような関係で、若宮との婚儀の折には家女房(側室的な?)に行くことも決まっていた人物、恋に生きるって感じで何かと積極的、なんだかんだ射止めたわけで葛藤はあるかもだけどお得な感じ

市川雷蔵は婚約してたのに他所から奪われて、世間に顔向けできない恥ずかしい、とはいっても何もできないの、みたいな情けない男の役、遂には諦めて手近な女でいいかなみたいなそんな感じ

題材としてはなかなか珍しく幕末の朝廷側をメインとした作品ですが、面白さはそんなに、、、って感じです
朝廷側の描写、衣装やセットにしても特に豪華、華美って感じでもなく、んーーこの辺は江戸時代の朝廷は貧しかったとか聞いたことあるからその点ではリアリティあるのかもしれないけど、映画的にはいまいち

タイトルの朱雀門ってのはよくわからない、劇中そんなワードは一切出なかったかと、平安時代の映画かと思って見ちゃいました
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