ずどこんちょ

ユナイテッド93のずどこんちょのレビュー・感想・評価

ユナイテッド93(2006年製作の映画)
3.6
2001年9月12日。朝起きたら父がテレビのニュースを見ながら顔面蒼白だった。「戦争が起こるぞ……」と父はつぶやいた。
まだ子供だった自分には現実感もなく、その日もいつものように登校して、普通に授業を受けていた。

あの日ハイジャックされたうちの1機をめぐる航空関係者たちや、乗員乗客、ハイジャック犯たちを描いたノンフィクション映画でした。
当時の私には現実感も恐怖感もそれほど実感してなかったし、更にも増して時の流れで少しずつ記憶も薄れてきていたものの、目の前の凄惨なテロに成す術もなく佇むしかなかった地上関係者たちの絶望や、ユナイテッド93の乗員乗客たちの勇敢な闘いを改めてこうして目にすると、絶対に風化させてはいけない歴史だったと思います。
ユナイテッド93の結末は映画を見る前から分かっていたのに、結託してテロリストたちに立ち向かう勇気ある乗客たちの奮闘を見ていると、「もしかして助かるのかも…」と希望を抱いてしまいました。
それなのに……。

ハイジャック機のうち唯一目標地まで辿り着かなかったユナイテッド93。墜落当時、離着陸より猛スピードで突っ込んだとされるその機にも生存者は一人もいませんでした。
だから実際の現場を見た証言者はいません。でも、彼らが立ち向かったから目標地まで辿り着いて更なる被害者を生み出すことはなかったこと、そして卑怯なテロリストに立ち向かう勇敢なる反撃者が市民の中にいたことは、確かな真実なのです。