とんちゃん

黄昏のとんちゃんのレビュー・感想・評価

黄昏(1981年製作の映画)
4.2
原題「On Golden Pond 黄金の池にて」
ブロードウェイで人気だった演劇の戯曲を映画化。
主演ヘンリーフォンダ、キャサリンヘップバーン、ジェーンフォンダ。
ジェーンフォンダは当時、父親ヘンリーフォンダとの確執があり、その関係が酷似している平行する様なストーリーが話題となった。

ノーマン(ヘンリーフォンダ)とエセル(キャサリンヘップバーン)のセイヤー夫婦は毎年ニューイングランド北部のゴールデンポンドと呼ばれる湖のほとりで過ごしている。
今回はノーマンの80歳の誕生日。
長く疎遠であった娘チェルシー(ジェーンフォンダ)が交際相手を連れてゴールデンポンドに訪れる。しかし交際相手の連れ子ビリーをセイヤー夫婦預けて、二人はヨーロッパ旅行へ行ってしまう。

この作品を初めて観たのはTV放映で、まだ十代の頃。起伏の少ないストーリーだけど記憶ずっと残っていた作品。
ジェーンフォンダとヘンリーフォンダとの間に確執が有った事さえ知らなかった。

ジェーンフォンダがこの撮影前、反戦運動でベトナム在住期間が多かった為だろうか、かなり日焼けしていた。白い歯が目立つ。今回ジェーンが演じるチェルシーは父ノーマンへ和解目的で会いに来たけど、少しトラウマになっていた過去の記憶が邪魔をする微妙な役どころ。

ヘンリーフォンダが演じるノーマンは80歳の高齢で心臓病持ちで少し記憶障害を持っている。外に出るにしても妻エセルが近くに居ないと道に迷う程である。
ちょっと毒舌で偏屈な感じがまた良い。
過去のヘンリーフォンダが演じた役でも好きなキャラ。
この役で念願のオスカーを獲得後まもなく心臓病で死去。

キャサリンヘップバーンが演じるエセルは父と娘がずっとわだかまりがあるのを心残りに感じていた。その歯がゆく思っている表情がまた可愛いらしい。
またノーマンの病気を心配そうな表情が心臓発作で亡くなった恋人スペンサートレイシーと重なって見えたかの如く熱量がある演技でした。思いが強くて水にも飛び込みます。(ジェーンフォンダはバク宙で飛び込みます笑)
尚、ヘンリーフォンダが劇中に被っていた帽子はスペンサートレイシーが愛用していたのをキャサリンがプレゼントした代物らしい。後からそれを知るとまた感慨深い。
彼女が一人で歌って踊っているシーンが何とも素敵。
全員に気を遣い、水鳥(アビ)にまで気を遣う愛らしさ。
フォンダ父娘も良いけど、エセル、キャサリンですね。まさしく理想的な母親像、理想的な妻役
ずっと見ていられる。
というか欲しい位。笑
この作品で4度目のアカデミー主演女優賞を受賞。
納得の行く名演でした。

八千草薫がエセル役で何度か舞台化され好評でした。一度観たかったです。


余談
ヘンリーの余命が僅かしないと聞かされたジェーンがこの戯曲映画化権を買取り、和解も含めてヘンリーを出演させたものと知られている。
ヘンリーの息子でジェーンの弟、ピーターフォンダも同じく父親と確執が有った。
1979年にピーターが監督及び主演の「グランドキャニオンの黄金」にヘンリーが出演していますがこれはジェーンの様な美談は無く、単にヘンリーが金欲しさにピーターに半ば強引に逆オファーしたものだったらしい。
どうでもよかったですね。


アビ🦆🦆の鳴き声が響きわたる