ひらさま

黒い画集 あるサラリーマンの証言のひらさまのレビュー・感想・評価

3.8
墜ちる墜ちる、とんとん拍子で⁈転がり墜ちる中年男の真っ逆さま人生
二流企業の中間管理職サラリーマンだが、美人で奔放な部下を愛人として囲ってるくらいだから、なかなか甲斐性がある
ある晩、彼女の元を訪れた帰り道で、偶然自宅近くに住む保険屋の男とすれ違う
ところが翌日、その保険屋の男は殺人容疑で逮捕される
保険屋の男は殺害時刻の頃に現場から遠く離れた別の場所で彼とすれ違った、よって犯行は無理だったと主張するが、愛人の存在を隠匿する為、サラリーマンはすれ違った事実はないと偽証
途中で一旦証言を翻すが、その途端マスコミに実名で報道され、会社からはクビを宣告される
60年前、プライバシーなど無かったんですね
追い詰められたサラリーマンは再度証言を翻し、結果保険屋は有罪に
60年前、こんな証言ひとつで有罪か無罪か決められていたんですね
平穏を取り戻したかに見えたサラリーマンですが、一度坂道を転がり始めると止める事は出来ない
後半には偽証により冤罪を引き起こした男が、今度は冤罪を被りそうになる皮肉な展開が待っている
60年前、もしかして冤罪だらけだったんとちゃう?
そんな観点からも今観ると怖いお話
転落リーマンを演じた小林桂樹は40代の割に老けてるけど、当時はこんなモンだったかと
奔放な愛人役原知佐子はメチャかわいい
(あの実相寺昭雄夫人、今年84歳で亡くなられたそうです、ご冥福をお祈りします)
オープニングのタイプによるタイトルバックは斬新
嫌な話ですが、引き込まれる様な魅力を持つ毒薬です